風の海 迷宮の岸

風の海 迷宮の岸 十二国記 (講談社文庫)

風の海 迷宮の岸 十二国記 (講談社文庫)

えてぃ「十二国記の続きを読みました」
しん 「ふーん。どうだった?」
えてぃ「さすが小野不由美って感じ。文章が上手い。まぁ・・・『月の影 影の海』や『風の万里 黎明の空』には及ばないにせよ、孤独や郷愁を思う主人公とその周囲の人々の心情の対比、それをふまえた上での行動に移すまでの心理の変化の描写がいい。まあ、シナリオ的に上記の二作ほどの『ドラマ』があるわけではないのが残念だったけど・・・」
しん 「内容は?陽子の即位後の話?」
えてぃ「いや、陽子の即位した慶の物語ではなくて、戴の国の麒麟の物語。・・・十二国記は舞台の国の設定があまりに複雑すぎて簡単にはその世界観を紹介できないのよね・・・十二国の国の成り立ちから文化から尺度まで全部オリジナルの設定で描いているから・・・あたしには上手く説明できないわ。世界観がすごいのよね。まだ読んでいない人には是非ともお勧めしたいんだけど、その面白さを口で表現できないのが残念。国語力がもうちょっとあればよかったんだけど」
しん 「もし活字が苦手だったのならNHKで放送されていた『十二国記』を見ればいいんじゃない?『月の影 影の海』だけは見たけど、あれも十分に世界観が伝わるし面白かった」
えてぃ「あ、アニメみたんだ・・・アニメの方はどうだった?原作に忠実な感じ?」
しん 「んー・・・とりあえず主人公の陽子以外にも十二国に渡ってきた日本人がいるっていうところが違う。あと細かいところもちょっとずつ違うけど大枠は同じ。ただ・・・」
えてぃ「ただ?」
しん 「原作ではあくまで陽子一人での逃避行だったじゃん?だから、単身渡ってきた孤独や、妖魔におそわれる不安、それを乗り越える強さの会得、偽りの優しさ、それを知ったときの人間不信、本当の優しさ、本当の人との交わりを知ること、こういった心境の転落、変化、成長が原作ほどは明瞭に描かれていなかったキライがある。そこがちょっと惜しいかな。アニメの方だと陽子の心の成長のきっかけがどうも不明瞭で急すぎる。腑に落ちない感じがあった。・・・まあそれ以外はすごく良かったと思うんだけど」
えてぃ「小野不由美の一番面白いところがないのは・・・ちょっと残念だけど・・・」
しん 「でも、その分日本人の三人の心の交錯は描かれてそれはそれで面白かった。『月の影 影の海』で解決されなかった伏線もあるようだし。まだあと三章あるみたいだから続きに期待できそう・・・って話だいぶずれちゃったな」
えてぃ「原作もまだ読んでいない章があるんで楽しみ」