hoshimi、『海辺のカフカ』を読む

正直このような衝動におそわれるのは初めてだった。
漫画も読みたくない。ゲームもしたくない。勉強もしたくない。寝たくもない。でも、小説がよみたい。
しかしこの前に読みおえたブレイブストーリー以外の小説は、せいぜい司馬遼太郎くらいである。司馬遼太郎の「翔ぶがごとく」はまだ読み途中であるが、それをあえて続きを読もうとも思えなかった。なにか新しいものが読みたかった。
というわけで本屋を散策してみたところ村上春樹の「海辺のカフカ」が目に入った。今話題らしい。というか海外で話題になっているらしい。ふむー、これは自分でその世界を感じて見なきゃあかんな。よし、これを読むか。といった具合で読み始めた。のが一昨日。
少年が家出をする。しかし普通の家出ではない。決意をもった家出である。といってもただの反抗心による家出ではない。感情的に飛び出した家出でもない。計画的に、入念に、しかも運命に定められたように彼は家出をする。というのが第一章。しかし第二章でいきなり全く関係ない話に行く。この物語の特徴は奇数章ではカフカ少年の、偶数章では別の、特にナカタ老人の話が行われる。いちいちいったりきたりで大変でめんどい。と思うところだが(最初はそうであったが)しかしだんだんそうでもなくてっくる。無関係であったはずの二つの物語がだんだん一つに絡まってくる。しかも予想のつかない形で。(少なくとも僕にはそう思えた。)
そこから一気にのめりこんだ。

正直文才が無いからか、想像力に欠けているからか、哲学性が欠けているからかわからないが、海辺のカフカの主人公側の結末、そしてナカタさんの使命がなんだったのかはよくわからなかった。それが残念で悔やまれる。でも面白かった。いや面白かったというのは表現が稚拙であろう。面白いのとはちょっと違う。世界に引き込まれたンだと思う。ある部分でホシノさんのように僕も引き込まれてしまったのであろう。また「トキ」が来たら読み返し、ちゃんとこの小説の本質を受け止めたいと思う。