第199回、はっぴー☆ちゃんねる:『りがくぶ!?〜はいすくーる☆でいず〜そのいち』


るな「おは☆はっぴー!!!」
えてぃ「第199回!」
しん「はっぴー☆ちゃんねる!解説のしんと」
えてぃ「えてぃ」
るな「るな、でお送り致します!!!」


えてぃ「ほんと、久々の更新ね」
しん 「うん。ひとつ前の記事が院試の話だから3ヶ月ぶりくらいかな」
るな 「忙しかったですか?」
しん 「うん。研究室配属されてから怒涛の日々だったのと文化祭で暴れまくったのとそのあとに動画編集やらなにやらとかで」
えてぃ「それで落ち着いたわけ?」
しん 「いや、あんまし。俺昔からなんだけど予定があいてるとすぐどんどん入れちゃう習性あるのよね」
えてぃ「確かに。あんたの昔の話聞いてるとホント落ち着きがないというか。…今もだけど」
しん 「それで、結局いざその時がくるとイッパイイッパイになっちゃう。で、しんどいけど断れないというかなんというか」
えてぃ「損な性格よね。もっとゆったり生きていけばいいのに」
るな 「でも、ゆったりする性格だったら研究者なんか志望しませんよね。ルナもわりとなにかやってるタイプなので気持ちは分かります。まあルナはどちらかというと家でひとりで本読んだりとか勉強したりとかですけれど。」
しん 「うん。で、最近もやらなきゃいけないことはあったんだけど、なんか久々に小説を書きたい病になってしまって」
えてぃ「それで、時間もないのに執筆したと」
しん 「うむ」
えてぃ「あんた半年くらい前もファンタジー書いてたわよね?あれはどうなったの?」
しん 「異世界と現実をリンクさせようと思ったら資料集めが大変になっちゃって一時期図書館にこもってたんだけどさすがに忙しくて諦めた。」
えてぃ「あー…あんた先のこと考えないで書き始めて挫折する典型ね」
しん 「だね。『りがくぶ!?』は身近な話を集めたからネタには困らないんだけど」
えてぃ「そのわりには更新しないわね」
しん 「4コマ、一話書くのに6時間かかるんだ」
えてぃ「ちょw」
るな 「なんと!?」
しん 「だから描きたくてもなかなかそのチャンスがねー。悔しい。それにGペンの先が折れた。」
るな 「踏んだり蹴ったりなのですよ…」
えてぃ「だから小説にしたと?」
しん 「んー、4コマ化は諦めてないんだけどねぇ。なかなか今の生活だと厳しいわな。やっぱり小説のほうがぱっとかけるから好き。上の文章で2時間くらいかな」
るな 「それでも結構かかるのですねー」
しん 「でもものづくり楽しいよ!また続き、かくのでお楽しみに!!!」



えてぃ「ところで次回200回ね」
るな 「おぉおおおおおおおおお!!!!」
しん 「やっとこさ、というところだね!!!というかホント、よく続いたよこれw」
えてぃ「ね、正直あたし5回で終わると思ってた」
るな 「るなが最初にはっぴー☆ちゃんねるに参加したのが150回記念だから今回で50回目なのですよ〜♪」
しん 「おぉ!!!おめでとう!!!」
えてぃ「おめでとう、ルナちゃん」
るな 「ありなのですよ〜☆今後ともよろしくです」

りがくぶ!?〜はいすくーる☆でいず〜前編

後編:id:hoshimi_etoile:20091225

 季節の変わり目を何をもって定義するかは人それぞれであり、絶対的な変わり目を気温といった明確なものをもってして定義することはあまり意味はなく、あくまで各個人個人の感覚によるものであるとは思うが、わたしの場合は紅葉していた木が丸裸になってしまったのを確認したときがそれである。もちろんすべての木が裸になって初めて冬である、と断定するわけではない。ただ「ああ、紅葉してたと思ったのにいつのまにか冬になったんだな」と思わせる木がそこにあればそれでよいのだ。他の人の基準はどうあれ、これがわたしの基準である。
 じゃあ、なんでわたしはこんなに木の様子の移り変わりに敏感なのかというと、それはクラスの席が窓際で授業中自然と視線が屋外に向くからである。講義をしている教師に頭を軽く叩かれたりなんてこともたまにあるが、無意識のうちに向いてしまうのだから仕方がない。今日も例外なく意識は屋外へと向いていた。
「先生」
 唐突な声に俺の意識は校舎の外の枯れ木から教室内へと戻される。
「どうしてTayler展開しないんですか?」
 身長は低く、ツインテール、まな板な胸をはって少女は立ち上がった。…またこのこか。


 伊吹マナ。
 天才と変態は紙一重という言葉をまさに具現化したような少女である。よくアニメや漫画といった劇作に登場する天才は自分の世界にひきこもっていたり、コミュニケーション能力に欠けていたりといった描かれ方をする場合が多いが、彼女の場合は至って普通だ。友達も多いし、話せば楽しい子である。ならば彼女のどこが変態なのか?と聞きたくなるのが自然であろう。彼女は一切妥協を許さない。中途半端な論理や短絡が許せないのだ。
「だってx>0でf(x)=e^xがg(x)=1/2 x^2+x+1以上なこと示すのなんてTayler展開したら一発じゃないですか、わざわざ微分して増減表書いて…なんてことするのはナンセンスですよ」
 こう宣うと、おもむろに立ち上がって教師の持つチョークを取り上げた。そしてTayler展開を証明し始めるのである。
「ああ、今日の授業は終わりね」
 小さくつぶやくとことのなりゆきを見守る。教室内をぐるりと見渡すとクラスメイトも同様の出で立ちだ。このようなパターンは今に始まったことではない。つい先日も似たような状況に陥った上でロピタルの定理を証明し、その日の授業が進むことなく終わったばかりである。教師も涙目だ。彼女は決して間違ったこと入っていないし諭すこともできない。だからといって勉強して彼女を超えられるかというとそれも無理である。簡単な数学の問題であるが、初期値が上で速度が自分よりも常に大きいものに追いつくことができるだろうか?当然否である。彼女は天才であることに甘えない。だからこそ面倒くさい。
 よく天才というと万能なイメージがある人が多いが、多くのそれは天才でなく秀才である。天才と秀才の違いは何か?それは努力せずとも他人を超える能力を持ったか、努力してはじめて他人を超える能力を持ったか、という違いである。天才が努力しないと言っているわけではない。初期条件が異なるのだ。マナの場合は間違いなく前者だ。最初にいった通り彼女は「秀才」ではなく「天才」なのだ。つまり万能からはかけ離れているのだ。彼女の国語力はひどい。先日は国語を担当している教師が生徒の前であることにも屈せずに、彼女の前に土下座して「お願いだから国語を勉強してくれ!」と嘆願するほどにひどいのである。…いや、あれにはびっくりした。自分の興味がないことには一切手をだすことはない。両極端なのだ。
 そんな彼女に何故か興味を持たれ行動を共にするようになってしまった私である。もちろんわたしとしてもそれは嬉しいことなのだけれど、普通をむねとしてこれまで過ごしてきたつもりである。「あたし、パンピーよね?」あるとき級友に訊ねたところ、彼女は苦笑いを浮かべ「胸に手を当てて考えてみれば?」なんて言ってきた。どうも私の基準値が壊れてしまったらしい。いや、わたしは普通。探せばたくさん普通なところがあるはず…なんて、自分の価値基準を肯定する根拠を模索していたら気がついたら授業は終了していた。
 マナの満足そうな表情を見ると教師を完敗させることに成功したようである。数学の担当教諭は肩をがっくり落として教室を出ていくところだった。


「ほしみーん!!!」
 子犬のように嬉しそうに駆け寄ってくるマナ。別に今日に限った話ではない。彼女はいつもこんな感じだ。
「ごはん食べよ?ね?ね?」
 そしてわたしの腕に自分の腕をからめると屋上へと引っ張っていくのだ。私は空いた片手で高校指定のカバンの中から薄いベージュのお弁当袋を取り出すと、なすがままに引っ張られていった。
 扉をあけると校舎内外の気圧差で一気に風が吹き込んだ。冬も間近で校舎の窓のほとんどが締め切られていたからであろう。風が若干冷たいがまだ我慢出来ないほどではない。わたしは彼女とともに過ごす昼食のひとときが嫌いではなかった。腰を端の段差におろした。
「マナ…あんた今日の朝ごはんは?」
「チョコレート!」
自信満々に答えるマナ。彼女は好きなときに起床し好きなときに就寝するために両親との生活リズムが全く合わない。そのため食事は基本全部自分で行っている。が、基本的に私生活に大雑把な彼女は満足な食事を作ろうということをする気にならないようなのだ。
「朝一番はやっぱりこれでしょ!!!血糖値を上げると頭の回転よくなるのよ?知ってた?」
 血糖値を急激にあげると糖尿病になりやすいんですよ?知ってた?なんてやりとりはすでに何度も彼女に言い聞かせている。けれどもいっこうに聞いてくれない。
「あんたいい加減にしないと体壊すわよ?…で、昼ごはんは?」
「ほら!これ!!!」
 おもむろに鞄から大量の赤い小袋を取り出した。…キット●ットである。相変わらず進歩がない。だから。
「わかってるわよ、ほら」
 わたしは彼女に自分のお弁当を分けるのだ。この子とずっと生活していると本当に心配になってくる。チョコレートばかりでたまにまずいと思うときがあるらしく、そんなときもせいぜいコンビニ弁当がやっとというところだ。「癌で死ぬんじゃないかな?」みたいなことを冗談でいうが正直笑えない。往々にして数学者は短命という。
 ガロアという高名な数学者がいる。彼は数学者として10代のうちにガロア理論の構成要素である体論や群論の先見的な研究を行った。彼はガロア理論を用い、ニールス・アーベルによる「五次以上の方程式には一般的な代数的解の公式がない」という定理の証明を大幅に簡略化し、また、より一般にどんな場合に与えられた方程式が代数的な解の表示を持つかについての特徴付けを与えた。群論や環論といった代数学の基礎に大きく貢献した彼は波乱万丈な人生を送っている。つまらない女をめぐって決闘し殺さえれたのだ。それが21歳。
 ガロアの人生の話はおいておいて、さすがにマナが21の短命で死ぬとは思わないがそれでも傍目から見ていてとても心配にさせる子であることには間違いない。わたしの責務は彼女を少しでも長生きさせてあげることかもしれない、なんて思ってなくもなかったりする。
 ベージュのつつみを開くと明らかに女子ひとりが食べる量には多いお弁当箱が顔を出す。そしてその一つを嬉しそうにひったくるのであった。
「にしてもマナ、あんた先生やりすぎじゃない?この前の件にしても今日のTayler展開にしても」
「やりすぎ?どこが?先生がわかっていなさそうだから教えてあげたにすぎないんだけれど」
心底不思議そうだ。一概には言えないが自然科学に邁進する人間の多くは空気が読めない。一度自分の世界に入り込むと周りのことがどうでも良くなるのだ。わたし自身も理系、特に理学を志しているのでたまに自問自答はするものの、無意識のうちにKY力を発揮しているのかもしれない。ただ、わたしの目からしても彼女の空気の読まなさは明らかである。
「うちのクラスだけ、授業進度がだいぶ遅れているみたいよ?」
「なら、質問されて遅れるような授業は教師の予習不足ってことでしょ?」
容赦ない。どうして数学系の子はこんなにSっ気が強いのだろう?
「簡単な話だって。数学者の責務はある定理を証明することで、その証明についてあら探しをしてつぶしあうのが仕事だから自然とSが集まるってわけ」
つまり自分がSであることを自ら認めたわけだ。
「あ、あたしはSじゃないから」
そこまで言っておいて何を言う。
「あたしの領域に踏み込んでこない限りはね」
つまり数学はマナのテリトリーだからテリトリーに入ってきたモノは容赦なく牙を向く、そういうわけらしい。確かに物理や化学といった他の科目(もちろん他の科目も十分できるのだが)についてはそこまで牙をむくのを見たことがない。わたし自身もマナとは数学について浅はかに議論するのは避ける傾向にある。

第198回、はっぴー☆ちゃんねる:やればできる子


「おは☆はっぴ〜♪」
「第198回、はっぴー☆ちゃんねる!ナビゲータのしんに」
「アシスタントのえてぃ、るなでお送りいたします♪」



「やればできる子なんだから!」



しんは無い胸を張ってそう言った。(あっても困る。)ここは、大学院入試が無事おわり第一志望に受かったしんの祝賀会の場である。受かった本人から一言、ということでのこの一声であるが正直この発言残念なことこの上ない。
「おめでとう!」
「まあともかくおめでとうなのですよ」
とえてぃとるな。しんのかわりっぷりは今に始まったことではないので特に動じない。『はっぴー☆ちゃんねる』も気づけばもうすぐ二周年。人間慣れるものである。そしてこの『はっぴー☆ちゃんねる』を見続けている(?)人もそうあることを願ってやまない。(本音)
「でも『やればできる子』ってよくいうけれど反実仮想的にみてみると『やらないからできない子』よね」
食べ物を自分の皿に移しながら、しんの発言に食いつくえてぃ。
「まあ実際やってもできないパターンはあるけれど、総合的にみるとやらないからできないパターンの方が多いかもな。俺からすると、世の中の人、潜在的に『やればできる子』は多いんじゃないかと思う。実際、俺浪人してるけれど大学落ちた年はそんなに勉強しなかったし、受かった年はそれなりに勉強したしね。今年も割と勉強したと思うし。やらないとしは落ちる。やった年は受かる。真理だね」
しみじみとしん。


「大学院の入試対策はどんなことしたですか?」
るなは身を乗り出してしんに訊ねた。来年は自分の番なので興味があるのも当然だろう。
「あ、それ気になるかも。大学入試の場合は国語とか英語とか色々あるだろうけど院入試は違うのでしょ?あたしの知らない世界ね」
とえてぃ。
「んー。春頃からかな。院試を意識し始めたのは。春休みに、なにか一つ得意科目を作ろうと思ってジャクソン読む自主ゼミ始めたんだ」
「先輩、春にJacksonがんばって読んでましたもんね」
「なに?そのジャクソンって?」
電磁気学のマスターピースと呼ばれる教科書なのですよ。ちなみに物理の世界ではよくあることなのですが、教科書のタイトルがどれもこれも『電磁気学』だとか『統計力学』だとか『量子力学』だとか同じで一見区別がつかないので著者の名前でいうことが多いのですよ。それでその『電磁気学』はだいぶ分厚くて内容も重いことで定評があるのですよ。先輩原書で読んでましたよね」
と隣のしんを振り返る。
「うん。一度日本語版買ったんだけど、間違えて第二版を買っちゃってそしたら単位系がSIじゃなくてCGS単位系で読み替えが面倒になって原書買い直したんだ(日本語版だと上下あわせて12000円、英語版だと1巻で6000円)」
「なんかよくわからないけれどあんたが馬鹿して原書で読まざるをえなくなったことだけはわかったわ」
「それを自主ゼミで毎週やるんだけど50ページ近く進むんだ。前日毎日徹夜で泣きそうになりながらやってたよ」


「それで?」
続きを促すえてぃ。
「一通り終わった後、熱統計力学の問題を解く自主ゼミに参加しようと思ったんだけど」
「うん」
「途中で色々あって、ストレスで嘔吐して断念…。あ、食事中にすみません」
「そ、それは壮絶なのです…」
「食中毒じゃなくて?」
「その可能性もなくはないけど」
「壮絶じゃないのです…」
「それはそれでどうなのかしら」
と、ため息。


「それから、俺、物理このまま一生するのかなーとか陰鬱な季節を六月から七月に過ごしました」
「たしかにあの頃のあんた病んでたわね」
「そしてあの動画*1を撮影して投稿した訳です」
「病んで作った訳?」
「いや、単純に作りたかっただけで投稿とその時期が偶然かぶっただけなんだけど」
「ふーん」
ぽんと手をうつ、るな。
「あ、そういえばその頃ですよね。先輩物理やめて情報学科行くかもとか言ってましたでしたよね???あれ、どうなったですか?」
そんな時期もあったんですよ。
「願書の日付間違えて受けられなかったw」
「ちょw」
かわいそうな物をみるようにしんを見る、えてぃ。
「あらあら…まああれですよ。神様が先輩に『物理から逃げるでない!!!』って叱咤したに違いないのですよ」
とフォローするるな。


「うん。まあそういうこともあって、仕方ないから腹をくくって物理に専念したのが七月後半。院試過去問ゼミが始まってまたそれが大変でした。一週間に一年分(10時間分)すすむから準備も大変。そして、当然時間内に解き終われない訳でほかのもとくと普通に倍かかる。で、そのゼミは交代で発表するわけですよ。で、どの問題が発表の担当になるかは当日公平をきしてじゃんけんで決めると」
「じゃんけんですかwwww」
「うん。だから予習段階でわからない問題があると泣きそうだよね。発表までずーっとそれ考え続けるみたいな状態だったし。一回で半分(5時間分)発表することになってたからいつも1時半から8時過ぎまで6時間半ぶっ通しでやってた感じ。よくやってたと思うよ」
「うへー」
「それはホントおつかれさま」
「いつも泣きそうだったよ。まあ、メンバーのほとんどが同じ状況だったろうけどね…いやー、しんどかった。最後の一週間なんかはだいぶきてて、変な夢いくつかみたよ。一つは受験勉強として国語を勉強してたら教授に『物理しなさい!』って怒られる夢」
「…なにそのわけわからない夢。物理から逃げたかったのかしらね?」
夢は記憶を整理するときに脳が見せる映像というし。
「そしてもう一つが夢の中でボーズ・アインシュタイン凝縮の転移温度を計算する夢。なんか、『BEC状態になるときは化学ポテンシャルが0で〜うんぬんかんぬん〜、よし、出た!』ってところで飛び起きたw」
「なんという夢落ち…」
「末期症状ね。まあそんな状態まで持ってきて当日に至る、ってことなのね」
「うん」


しん、ふう、と一息。
「入試当日の話はまた色々あるんだけどその話はまた機会があったらで」
「そうね。そろそろいい時間だし。」
「そういえば面接の話とかあまりちゃんときいてないのです。るな、来年入試なのでききたいのですよー」
「だね、いつかするさ。きっと。多分」
「自信が単調減少なのです。」
ふと手をあげて店員を呼ぶしん。
「あ、ビールもう一杯」
注文を手早くするしん。割り箸でビール瓶のふたを開ける店員。
「禁酒は解禁なの?」
えてぃはしんに注ぎながら訊ねる。
「うん。入試前はノンアルコールビールで我慢してきたからなー。おかげでノンアルコールビールの銘柄には詳しくなったよ」
「なんか真摯な光景なのか哀れな光景なのかわからないわねそれ。まあ、羽目を外してあまりのみすぎないようにするのよ」
「うい。…ぷはー!!!んー。五臓六腑に染み渡るってやつだね!」
「おやじくさ」
「おやじくさいのです」

第197回、はっぴー☆ちゃんねる:慎重な楽観主義者であれ


「おは☆はっぴ〜♪」
「第197回、はっぴー☆ちゃんねる!ナビゲータのしんに」
「アシスタントのえてぃ、るなでお送りいたします♪」


「慎重な楽観主義者でありなさい!」


 なんの脈絡もなく、えてぃが小ぶりな胸を張ってなにかの受け売りを偉そうに語った。
 しんは、時間変化する磁場とスピンの相互作用の計算する手を止める。なんでK先生はこんなに計算の手間のかかる問題を院入試にだすのだろうか。一時間で計算ミスなしに解ききれる気がしないのだが。…ええ。物理学科以外の人はおいてきぼりなのはわかってますよ?しんは面倒くさそうに視線をノートからえてぃにうつす。
 るなも目をぱちくりとまたたいてえてぃを見つめた。
「と、フルメタルパニックカリーニンは言っていたわ」*1
フルメタかよ」
間一髪おかずにつっこみを入れるしん。普段はボケとして定評のある彼であるが、実は突っ込みのセンスもあるのではないかと自問自答する。
 カリーニンとはフルメタルパニックというライトノベルの主人公、宗介の育ての親に当たるソビエト出身の軍人だ。
 ふう、っとため息をつくとしんはえてぃを促した。
「で、慎重な楽観主義者ってどういう意味?」
 るなも首をかしげる
「慎重さと楽観主義って相反する感じがするのです」
 楽観するのであれば慎重にはならないのではないのか?
「物事の成功において慎重さは不可欠よ。けれど慎重になればなるほどあらゆるマイナスの可能性が示唆されてくるわ」
「つまり物事の最悪のパターンを想定してしまうわけだな」
「ええ。そうね。すると不安になる。うまくいかないのではないかと思う。悲観的になる。おびえという逃げに走る」
 自分の言葉に、うんうん、とうなずくえてぃ。自分の言葉に酔っているようだ。
「悲観的なのはたしかに精神的によくないのですよ」
「絶望という甘い誘惑に逃げるのは容易なことよ。でもそれは成功する可能性を指数関数的に減少させるわ」
「どんなに時間がたっても0にならないところがにくいのです」
と、るな。
「たしかに」
「こら、るな。揚げ足とらないの」
「ぁぃ><」
小さく縮こまるるな。こほん、と小さく咳払いをすると再び続ける。
「どんなに可能性が小さくても最後まで成功する、と信じ続ける楽観さ。それでいてその努力をおこたらない慎重さ。その両者が共存するのが一番理想的な姿と言えるわ!」
と、締めくくった。
「まあ、確かにそうかもしれないな」
「そうありたいものなのです。。。」
「でしょ?」
 関心したようにえてぃを見るしんとるな。たまにはいいことをいう。
「たまにはってなによ?」
 心を読むな。
「しかし、何でそんな格言(?)をいきなり?」
「受験前のあんたに言いたくてね」
「はあ」
生返事を返すしん。
「あんた最近、研究室に受かる気がしないとかなんとか言ってるじゃない?」
「うん。実際問題を解いているとそう思ってしまうことが多くて…」
「あんたのそんなところが悲観的になっているというのよ!すでに負け犬ね!!!」
「な、なんと!?」
衝撃を受けるしん。その横で感心するるな。
「慎重になって勉強するのは結構だけど、そこで落ちると思い込むことは自分のこころに落ちる、落ちる、と自己暗示かけるのと同じことなのよ!!!というわけでもっと楽観的になりなさい!」
「は、はい!!!」
なぜか敬礼するしん。
「そ、それで師匠!!!楽観的になるにはどうしたらいいのでしょう!?」
「それは自分で考えなさい!」


………


一番肝心なところ放置ですか。。。
「が、がんばります。。。」
前向きになろうと思うしんであった。



「…まあそれでも落ちるときは落ちるけどね」
ぼそっと、えてぃ。
…せっかく前向きになったというのになんでこのタイミングでそれいうかな。。。

*1:フルメタルパニック! 極北からの声』参照のこと。

第196回、はっぴー☆ちゃんねる:音声合成で遊んでみた


るな 「おは☆はっぴ〜♪」
しん 「第196回、はっぴー☆ちゃんねる!ナビゲータのしんに」
えてぃ「アシスタントのえてぃ、るなでお送りいたします♪」


しん 「最近話題(?)の音声合成で遊んでみたのです。」
るな 「相変わらず現実逃避ですか…」
しん 「巷では有名な音声合成ソフトにAquesTalk*1っていうのがあるんだけど、Windows版のライブラリが公開されてたんで、いじってみました。」

しん 「合成してできた音がこれ。」
http://hoshimi.ddo.jp/tmp/hc195.wav
えてぃ「これ、前回のはっぴー☆ちゃんねる?」
しん 「うん」
るな 「なんか微妙にぬけたり…あと、『私は』の『わ』の発音が『は』になってるのです」
しん 「そのまま読む仕様になってるからね」
えてぃ「でも、これ、ライブラリを使ったってことは、普通にその関数を呼んで実行しただけ?」
しん 「ううん。このソフト、ひらがなしか対応してなくて、漢字読めないんだ。それ困るからMeCab*2っていう形態素解析するライブラリをつかって読み仮名に変換してそれをつなげて読ませる仕様にしたんだ」
えてぃ「形態素解析?」
るな 「ってなんですか?」
しん 「形態素解析っていうのは文章を分析して分節に変換することをいうんだ。たとえば『わたしのたわし』って入力すると…」
えてぃ「れーてん」
るな 「つまらないのです」

わたし  名詞,代名詞,一般,*,*,*,わたし,ワタシ,ワタシ
の      助詞,連体化,*,*,*,*,の,ノ,ノ
たわし  名詞,一般,*,*,*,*,たわし,タワシ,タワシ
EOS

しん 「てな感じに分析してくれるのです」
えてぃ「おー!!!」
るな 「なんと!?」
しん 「それで片仮名の部分を抽出してつないで読ませたわけ。」
るな 「じゃあそのめかぶってので片仮名に変換してそれを読んでるのですね?」
しん 「そーいうこと」
えてぃ「だから棒読みなのね」
しん 「だからってわけでもないけど…でもアクセントとかデータベース化すれば、メカブから変換する過程でアクセントを指定できそうなんだよね。でも面倒だからしない予定」
えてぃ「あらあら。」
しん 「このAquesってのよりもっと便利なライブラリでg-talk*3っていうのがあって、それはちゃんと形態素解析から、ことば自体のアクセントまで自動でやってくれるみたいで(プログラム完成してから発見した。。。)今度はそれで遊んでみようかと」
るな 「なるほどなのです」
えてぃ「あたし結構こういう国語的なの好きなのよね。なんか進んだらまた紹介してちょうだい」
しん 「あい」
るな 「でもその前に勉強なのです」
しん 「あい…」

*1:AquesTalk:組み込み用途向けに開発された、テキスト情報を音声波形に変換出力する日本語の規則音声合成ライブラリ。 http://www.a-quest.com/aquestalk/

*2:MeCab:京都大学情報学研究科−日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所共同研究ユニットプロジェクトを通じて開発されたオープンソース形態素解析エンジン。 http://mecab.sourceforge.net/

*3:http://hil.t.u-tokyo.ac.jp/~galatea/index-jp.html

第195回、はっぴー☆ちゃんねる:そうだ、遷都しよう!


るな 「おは☆はっぴ〜♪」
しん 「第195回、はっぴー☆ちゃんねる!ナビゲータのしんに」
えてぃ「アシスタントのえてぃ、るなでお送りいたします♪」
しん 「今日研究室で、にこにこうp主であることがバレたんだけど」
えてぃ「ちょw」
るな 「あらあら」
しん 「意外とすんなり受け入れられました」
るな 「さすが某大学なのです。キャパシティがでかいのです」
しん 「せっかくなので前回アップした動画を紹介したところ、かなり好評だったのですが、スカートはいてたところだけつっこまれました」
えてぃ「そりゃ、つっこむでしょう…あたしもあんたがスカートはいてるところ見たくないもん」
しん 「だから俺、答えてやったんです」
るな 「なんてですか?」
しん 「それ、ワンピースです、って」
えてぃ「なお、悪いわ!!!」

そうだ、遷都しよう!

えてぃ「なによおもむろに。…っていうかこれはこれまでの流れだとまたニコニコの紹介ね?」
しん 「うん。ランキングになかなか愉快な動画があがっていたから紹介を」
D
えてぃ「な、なによこのホラー」
るな 「ウルトラマン?」
しん 「ウルトラマンの映画から音源持ってきてるのかな?俺、その世代の人間じゃないから詳しくはわからないんだけど、CG全部1からおこしてるっぽくて、カメラワークからエフェクトから関心しました。脚本が素晴らしいね」
えてぃ「『ナラッ☆』ってなによw『ナラッ☆』ってwww」
しん 「マクロスフロンティアってアニメ知ってる?」
えてぃ「あんたのおかげで名前だけは。見たことはないけど」
しん 「「マクロスフロンティア」の挿入歌、ランカ・リーの歌う「星間飛行」でランカちゃんが繰り出す必殺技が『キラッ☆』なんだって。一種の必殺技であり、ひとたび「キラッ☆」っと唱えるだけで数百人のゼントラーディー兵士を同時に悩殺可能であるとか」
るな 「悩殺…ですか」
えてぃ「そのイミテーションってわけね…なるほど」
しん 「うん」
えてぃ「ちょw」
るな 「ひこにゃんなのです。。。」
しん 「こんな風に突っ込み所が1数秒おきにできるような動画はやっぱりすごいね。ここまでのクオリティを出せるうp主は尊敬に値します」
るな 「先輩は、動画作るとき、こんな風につっこみを入れてもらえるような動画を目指してるですか?」
しん 「うん。ユーザーとうp主が共有できるものがあるって嬉しいよね」
るな 「そういうものなのですか」
しん 「うん」


るな 「で、遷都したいのですか?」
しん 「いや、ゴロが良かったからタイトルにしたかっただけです」
るな 「あらあら。。。」

第194回、はっぴー☆ちゃんねる:室内楽のためのCagayake!GIRLS


るな 「おは☆はっぴ〜♪」
しん 「第194回、はっぴー☆ちゃんねる!ナビゲータのしんに」
えてぃ「アシスタントのえてぃ、るなでお送りいたします♪」

室内楽のためのCagayake!GIRLS

しん 「去年の12月くらいに『室内楽のためのふぃぎゅ@メイト』ってのをアップしたんだけど*1そのメンバーで新作やりました」
えてぃ「『Cagayake! GIRLS』ってなんの曲?」
しん 「今年度の第一期にやってたアニメ『けいおん!』のオープニング。アニメのオープニングを実写化した動画を後輩が上げたって話は何回か前のはっぴー☆ちゃんねるでしたかと思うんだけど」
えてぃ「ああ、そういえばそんな話あったわね」
しん 「俺たちもあれにいんすぱいあされて実写風な映像にしました。」
D
えてぃ「こ、これはまたはげしいわね」
るな 「先輩はどの人なのですか?」
しん 「俺はピアノ」
るな 「このキモカワな馬な人ですか?」
しん 「うん」
えてぃ「カワイイの要素、全くないと思うんだけど…というかあんたなぜその衣装を…」
しん 「いや、文化祭の時に買った衣装、使う機会なかなかないから」
えてぃ「やっぱりあんたそういう趣味が…」
しん 「普段はそんなことしないよ。。。」
えてぃ「ふだんからしてたらそれこそどんびきよ…でなくてもそうだってのに」
るな 「というか屋外でよく撮影しましたね。これだけの場所、結構大変だったじゃないのですか???4〜5か所あるじゃないですか?駅前とかもあったし…さすがに恥ずかしいんじゃないですか?」
えてぃ「確かに。あんたはともかくとしてその周りの人たちとか」
しん 「俺も恥ずかしかったって。さすがに真昼間からこんなことはできないから早朝5時くらいにあつまって7時までに取り終えた感じ」
るな 「5時って…早いのです」
えてぃ「なにその無駄な元気」
しん 「まあそうこうしてやっと完成した動画なのです。ぜひ見てコメントしてマイリスしてやってください♪」
えてぃ「必死ね」
しん 「ロケハン、編集大変だったからねー。というわけでよろしく!」